不動産業界のコト⑦【不動産の引渡し猶予】
2024年10月05日
今回は不動産に関する知識の第⑦弾♪
今回は「不動産の引渡し猶予」についてのお話です。
『不動産の引渡し猶予とは』
買主が売買代金全額を支払った後の一定期間、
売主から買主への物件引渡しを猶予する(待ってもらう)取り決めのことを言います。
不動産取引では、売買代金全額の支払いと同時に
物件の引渡しを行うことが原則とされています。
しかしながら、場合によっては売主が引渡日の前日までに
引っ越しを完了出来ないケースもあります。
このようなとき、例外的に売主が引っ越しを完了するまでの数日間を
買主に待ってもらうのが引渡し猶予なのです。
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ではなぜこのような特約が設けられているのでしょうか?
実際に自分が住宅の売却をするものとしてイメージしてみて下さい。
・手狭になってきたから広いお家に引っ越そうかな・・・
・子供たちが独り立ちして住み替えを考えている・・・
などで今まで住んでいた家の売却と新しく住む家の購入を同時期に進めているとします。
良い引越し先が見つかり、住んでた家の購入希望者も見つかった!
新居へ移るためには基本的に住宅ローンを利用して決済を行うと思うのですが、
その住宅ローンの融資を実行するには売却する家の住宅ローンを完済しなくては
中々審査が厳しいという問題が発生します。
なので売却して得たお金をローンの残債支払いに使用したい。
売却してから購入するので同じ日に売却と購入を行ったとしてもタイムラグは発生します。
当然、引越しも新居を購入するまではできませんので売却する家に荷物が残ったままです。
売却したタイミングで所有権は買主に移りますので、
権限のない状態で占有している状態になってしまいます。
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このように、売却する家に住宅ローンの残債があり、
新居は住宅ローンを利用して購入する場合などに
この「引渡し猶予」という特約を付けるのが一般的となっています。
そうすることで売却したお金でローンを完済、新居の決済をして引越し、
その後売却した家の引渡しが可能となります。
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売主にとってはありがたい「引渡し猶予」ですが
買主にとってはかなりのリスクが生じます。
買い替えにより引渡し猶予が条件となる取引の場合、
同時に「買い替え特約」が付される事が一般的です。
買い替え特約とは売主による買い替え先の購入契約が何らかの事情で解除された場合
それに伴って売却の契約も解除されるという特約です。
この場合、売主に特段の責任が無ければ、
解除による売主へのペナルティは発生しないいとする事が通例です。
したがって、買主はこれまでの時間的・金銭的コストに関わらず、
原則的には何ら売主への請求ができません。
引渡し猶予がある場合、買主は大きなリスクが生じることは認識しておく必要があります。
通常の売買よりも特約条項が多くなるため、仲介会社にそれらの意味やリスクがどの様なものなのか
アドバイスや意見をしっかりと受けたうえで購入判断をすることが重要です。
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